星の王子さま



 サン=テグジュペリの不朽の名作がなぜSM的な文脈で語られるのか? 読まれた方も多いので意外に思われるかもしれない。もちろん特に具体的な描写はないが、あえて言うなら王子がきつねと出会うシーンに次のような会話がある。

おうじ:僕と遊ばない?僕、ほんとに悲しいんだ

キツネ:遊べないよ。あんたに飼いならされちゃいないから

おうじ:「飼いならす」って、それどういうこと?

キツネ:よく忘れがちなことだが、「仲良くなる」ってことさ。


 ここでたんに「調教」という言葉を連想される場合もあるだろう。
この後、バラの花のエピソードがあり、王子さまとバラとの関係性の中に、いつくしむ者を崇拝する心理や愛の感情といった意味で、なんとなくマゾヒズムやFemDom的な視点が喚起されるのは、これは僕特有の感じ方なのだろうか。バラの花は物語の中では擬人化によって一人の女性が象徴されており、いろいろなエピソードが伝えられている。わかる人にしか、わからないだろう。もしかして怒る人もいるかもしれない。純粋な名作を不埒な考えで汚すな、と。その気持ちはよくわかるし、そんなつもりはありません。声高に「解釈の自由」を訴える気もない。
 この作品は僕も子供の頃からの愛読書で、同じような読者の気持ちを踏みにじるようなことはしたくないのである。それだけは俺はやるまいと。
 ↑ もうやってるっての (。。)☆\バキ

 ただ、この作品は並のおとぎ話ではなく、様々な暗喩や風刺、解釈が可能なディープな世界が描かれていて、大人になってからぜひ再読してもらいたい名作。すでに多くの人にとって忘れがたい座右の書となっているはずで、ここで僕があらためてお勧めする必要など全くないくらいだが、最近、作家の倉橋由美子(僕を探しに/シルバスタイン)による「新訳・星の王子さま」(宝島社)が出版されたので、再読するにはいいタイミングだとは思う。

 大人になってから、もし初めて読むのなら倉橋訳の方が少しだけいいように思う。先に岩波の内藤訳を読んだ経験のある人は、複雑な気持になるだろう。僕は英訳もフランス語版も学生時代に読んでおり、内藤訳は何度も読んでいる。日本語訳だけを比べるとわからないかもしれないが、少なくとも英訳と比較すると、倉橋はいい仕事をしている。内藤訳と比べてどうのこうの言えないけれど、僕の好みとしては倉橋訳のほうがいい。しかし、ちょっと子どもじみた内藤訳が捨てがたいのも事実。昔から馴染んでいるだけに悩ましいところだ。

 今年になって長年にわたる岩波書店の独占翻訳出版権が切れ、この他にも池澤夏樹などが新訳を出している(集英社)
 他にも何点か出版されており、従来の子供むけ訳のイメージを脱し、アダルト向け新訳が今後どう評価されていくのかちょっと楽しみだ。

キツネ:心でみなくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは目に見えないんだよ。
One sees clearly only with the heart. Anything essential is invisible to the eyes.

*英訳も複数あり、古いペーパーバックでは次のような表現になっている。
You can only see things clearly with your heart. What is essential is invisible to the eyes.

 英語版は英検2級レベルで充分鑑賞できるシンプルさ。英文の新旧訳を読み比べるのは1級レベルのマニアックさかもしれない^^

大切なことは心でみよう。

小さな王子―新訳『星の王子さま』

八坂書房

このアイテムの詳細を見る
プチ・プランス―新訳 星の王子さま

グラフ社

このアイテムの詳細を見る


【アフィリエイト文責】

homer_2006@goo.jp
僕の実名住所等はメールにて確認ください



posted by homer_2006 | Comment(8) | マゾヒズムに花束を!
この記事へのコメント
Q.
他者の著作物の無断転用を重ねながら、自らの記事の著作権を主張し尚且つその二次転用を禁じてる悪徳ブログがあると聞きましたが本当ですか?

A.
はい、ここがそうです。

http://blog.livedoor.jp/fem_dom/
http://blog.goo.ne.jp/homer_2005/
http://ameblo.jp/femdom/

メインブログを削除されながら一向に行動が改まらないところをみれば、社会常識が著しく欠如した管理人が運営しているものと思われます。
Posted by 他も巡回しとけよ アンポンタン (Q&A) at 2005年10月24日 09:03
いくぞ。

・時事報道や単なる伝聞(うわさ話)には著作権はない
・逆に時事報道に対しては著作に関する権利を行使できない

著法の関係規定をかいつまめばこの2つ。

つぎに2chの書き込みについて。
我々は、板運営者(と運営者が指定する者)に対しては著作に関する権利を行使しない、という特約の元に書き込みしてるってこと。
逆いえば、このたとえば書き込みにも著作権は生じるんだよな。

最後にBlogを含むところのwebサイトの話。
現行の判例では、時事報道性・評論性はない、ってことで落ち着いてる。

だから、この書き込みだって他人が勝手にBlogに載せたらまずいってことね。
Posted by 全文掲載 (著作権者) at 2005年10月24日 09:07
>逆に時事報道に対しては著作に関する権利を行使できない
ってのは、こういうこと。

皇居の新年歌会始めってのがあるじゃない。
選に入った歌は報道されるよね。
でも、詠者は報道に掲載料を請求 (著作に関する典型的権利ね) できないんだ。
勿論、報道がやってることは合法。

ところが、同じことを個人がやってるHPで「公民館で催された歌会の報道」と称してやったらどうなるか?
現行では、×。
「あなたの歌を(無料で)HPに載せていいですか」と伺いたてて、許しを得なければならない。
さもなければ掲載料の請求がくるかもしれないし、告訴されれば最悪刑事罰もありうる。
Posted by 全文掲載 (著作権者) at 2005年10月24日 09:09
他サイトや書き込み者を喰い物にすることしか考えないがっつきネット人、それがHomer。
小学生並の法律知識をもって次々に他人を踏みつけにする無法四十男、それがHomer。

現在インターネット上には八百萬のHomerがいる…
Posted by 固有名詞に非ず (Homer) at 2005年10月25日 09:28
「星の王子様」‥‥、こんな有名な本なのに読んでないや。Homerさんの記事読み、興味わきますね。
そうそう。岩波の翻訳権ってなんとかなりませんかね。おっかしな訳(原文読んでないからわかんないけど)のありますよね、岩波文庫。っていうか古いだけか。
Posted by Unknown (たぬきの腹鼓) at 2005年10月26日 20:22
薔薇のお話の部分は‥
似たようなたくさんの薔薇の内の一本でも、僕が手塩をかけて育てているこの薔薇は、世界で一本しかない特別な薔薇・・・
みたいな趣旨‥でしたよネ‥?
倉橋訳、私も読んでみようかナ‥
「心」を精一杯、全開にして‥。。。
Posted by Unknown (thorn_rose) at 2005年10月26日 21:01
 ちょっと古いエントリーにもかかわらずトラックバックをいただき、ありがとうございます。確かにどう読み解くかによって、訳調とでもいいますか雰囲気はがらっと変わりそうです。いろんなのが出てくると良いですね。
Posted by TBありがとうございました。 (5号館のつぶやきおやじ) at 2005年10月27日 16:18
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。