罪を憎んで人を憎まず



 一昨年、株のインサイダー取引疑惑で告発された米国のカリスマ主婦にして実業家のマーサ・スチュワートは、いったんは上訴して戦う姿勢を見せたが、突然自ら罪を認めて禁固5ヶ月間の刑に服し世間を驚かせた。自分の名前を冠した会社の経営者でもある彼女が、刑務所行きを宣言した記者会見で述べた「会社と私を支えてくれる人たちのために一刻も早く復帰する」という言葉どおり、昨年出所してからは会社の株価は持ち直し、服役生活についての本も出版、テレビ番組にもカムバックするなど「スゲエなこのおばさん!」と思ったものである。

 日本ではあまり報道されなかったけれど、この人もマスコミや世論にさんざん叩かれてへこんでいた。O.Jシンプソンやマイケル・ジャクソンの例でもわかるように、アメリカンドリームと落ちた偶像のストーリーはこの国のお家芸みたいなもので、そのバッシングの凄まじさはハンパではない。

 それだけ激しく糾弾され、企業トップの逮捕と有罪判決という事態にも関わらず、マーサが引責辞任することもなく仕事に復帰できたのには、根底には「潔く罪を認めたんだから許してやろうよ」的なムードもあったように思う。まさに罪を憎んで人を憎まずである。



 今回のライブドア騒動と単純には比較出来ないのかもしれないが、なんとなく思い出されてしまった。国内における会社と個人の知名度、カリスマ性の失墜、そして告発された容疑(証券法違反)という点では似ていると思う。

 しかし大きな違いは会社の「商品」だ。マーサの顧客は主に主婦層で、商品は日常雑貨やリビング製品、ギフトや料理のレシピといった身近でわかりやすいもの。虚業ではなく、きちんとした目に見えるクオリティの高いビジネスが売りのポイントだった。

 そして何よりも彼女の親しみやすい人柄と、ちょっと近寄りがたい凛とした気高さのバランスの良さである。つまらない家事仕事のイメージに「質の高い生活を演出する」という、ちょっとした工夫で庶民が上質なライフスタイルを実現できるという付加価値を見いだしたマーサのコンセプトが株主や投資家たちにも高く評価されていた。尊敬できる人間性を兼ね備えていたのである。

 マーサが刑務所行きを宣言した時は、有罪判決を屈辱的に受け入れるという惨めなものでなく、ユーモアまで交えた爽やかな記者会見で、まさに女王としての風格と気品が感じられた。アメリカにはマーサを崇拝するマゾ男性がけっこういるんじゃないのかな。

 ホリエモンだって一部では絶大な人気と親しみやすいキャラを売っていたように見えたのだが、今のマスコミや世論の反応をみているとそうでもなかったようだ。仮に堀江容疑者がマーサのように潔く罪を認めたとしても、世間は許してくれるのだろうか。

 もしも容疑が事実であるなら、つべこべ言ってないで、さっさと謝ってしまうのもオプションの一つだと思う。

 「想定外でした、すみません」って、ネ。

 復帰するしないはともかく、それが本人にとってもライブドアグループにとっても、そしてここまで過剰にフィーバーしてしまった世間にとっても、一番の解決策のように思われる。

 その時のマスコミや世論の反応が、今度はどういったものになるのかに期待してみたい、という気がする。


posted by homer_2006 | Comment(1) | マゾヒズムに花束を!
この記事へのコメント
一部噂では、フジサンケイが乗り出してくるとか。
もし本当に、LDを吸収したとなったら。
とられたところを丸ごと呑み込み、ぶんどり返すってことになりますね。
なんかみてえ、、、
Posted by 番頭グループを憎みて構成員を憎まず at 2006年01月26日 16:33
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