ミュンヘン

 この映画を見るにはパレスチナ紛争や中東情勢の基礎知識が欠かせない。それらに興味がなければもともと見る気にもならないのかもしれないが、そもそもミュンヘン事件を知らない世代にとっては、高校で習う世界史的な情報だけではわかりにくい作品と言えるだろう。
 
 元来僕は、この問題には特に興味はなかった。

 政治的にも宗教的にも関心がないから、公にされている事実関係すらまともには知らない。しかしメディアに関わる仕事を長年してきたこと、一昨年から親しい友人にピースウオークに誘われ、ごく「個人的」に世界平和に関する体験をしたことなどから、ちょっと見て見ようかなという気分にはなっていた。そして、この種の問題に

関心のない者が見るべき作品 なのかもしれない、

というのが見終わった後の僕の感想である。

 正直なところ、血で血を洗うような泥沼化したこの問題は、日本人には理解しがたい世界だし、また特にそれが必要だとも思っていなかった。しかし、地理的にも民族的にも遠いからといって、全く無関係な話ではないのである。そういうことをこの映画は伝えようとしている。一応娯楽作品としての味付けもしてあるし、複雑な背景知識はなくとも楽しめるようにはなっている。(少なくとも、イスラエルとアラブが何故対立しているかを知っていることが前提)

 ただ、ちょっと気になったのは、監督がユダヤ系のスピルバーグだから仕方がないとはいえ、どちらかというとイスラエル寄りの視点。同じ題材でアラブ系の監督ならどう描くのか。そんな後味の悪さが残った。

 たまたま今、イスラム教の風刺漫画問題で抗議デモが過激に深刻化している最近の情勢にしても、報道のリソースはキリスト教西洋社会に立脚しているような気がする。この映画を見る前だったら、僕も単純に「アラブ系ってなんであんなに野蛮なのかしら?」と思ったかもしれない。

 どちらにも正義はない。いやどちらにも正義はあるのかもしれないが、そんなことを考えるのは無意味だということもこの作品は教えてくれる。

 人の心に国境はない。

憎む気持ちも、何かを慈しむ心も、人は皆同じものを持っている。


 それにしてもユダヤ問題は根が深い。靖国問題で近隣からとやかく言われるのとはレベルが違う。(←違うって)

 そういう複眼的なものの見方を、あらためて突きつけられたような気がするのでした。



posted by homer_2006 | マゾヒズムに花束を!
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