おきく (梅乃) − 恋の病に病死した江戸娘

8e64c96d.jpg振袖火事は、お七よりも先の出来事であったか?
いずれにせよ、さほどの年月の違いはない。
振袖火事とは、明暦3年1月18日(1657年3月2日)に起きた明暦の大火の別名である。
その別名のいわれとなったのが、本日俎上にあげた女性だ。

おきく…
異説もあるがこの説に従おう。
エピソード的には、お七と非常によく似ている。多分に混同はあるのだろう。
が、決定的に違うのは、彼女は火付けをしていないことだ。
おきくは振袖火事に先立つこと2年ほど前に鬼界に入っている。享年17歳とも16歳とも。
副題にしたように、恋の病に悶死しているのである。恋しい恋しい振袖を愛撫しながら。

彼女が恋したのもまた寺小姓だ。
一目の恋に誘われたおきくは親にねだり、小姓が着ていたものと同じ柄の振袖をこしらえてもらうのである。
そして、その振袖に日な日な寺小姓の姿を重ね想い続けた。
述べたように、死のその瞬間まで…

あえて述べるまでもないだろう。衣服フェチシズム。
それもとてつもなく強烈な。
それが証拠に、その振袖を着た娘たちは次々病死、そして2年後には江戸の町の大半を焼き尽くす大火を引き起こすのである。

衣服フェチシズムは圧倒的に男性に多いフェチシズムだ。
いや、男性のほとんどは身に覚えがあるのでは?
と問いかけて弁護しておこう。
男性の衣服フェチの大半は本来の性対象を、少なくても性対象をも追っている。
衣類に染み付いた(性対象たる)女性を五感を以て感じ取るべく試みる、
平たく言えば、女性の身に着けていたものを嗅いだり舐めたり身体のどこかに押し付けたりしている、ということだ。

街頭で一目見ただけの女の洋服と同じ模様の紳士服を誂え、夜な夜な愛撫しながらやがて悶死、などという男性は先ずいまい。
事例の少ない女性のそれが暴走してしまうとなると、かくのごとくである。

おきくの逸話といい、お七のそれといい。
本来受身である女性が逆転、攻撃側に回った場合、いかに恐ろしいことになるかを後世に遺してくれている。



posted by homer_2006 | サディズムに花束を!
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