ゲルマン神話の創造者たち − 「ロキの口論」34節に見る興味深い逸話

7ad50dc5.JPGネットにおける男性マゾヒストたちは嗜好に偏りがある の稿で、実験などという不遜な言い方をした論者である。
いや、事実のその甲斐あり、件のサイトリンク元ワードを辿っているうちに副題の箇所を知ったのだ。

ゲルマン神話の大特徴は、最後に破滅を迎える点であろう。
全編のバックボーンをなるアゥスガルズルの神々と巨人族の戦い… いかにも狩猟民族らしい闘争心旺盛な展開である。
さて、本論の狂言回したるロキ神は神話の中でも非常に大きな位置を占める。
概略をいえば神々の座に連なるも元は巨人族の出身、共倒れとなるラストバトル・ラグナロクにおいては寝返って巨人族に付くことになる。
「〜口論」はそこに至るプレリュード部だ。
酒席のいさかいから、ロキは居合わせた同僚神の醜聞裏話を暴露し次々コキ下ろしていくというものである。
詩仕立てであるから節がある。途中からはじめよう。

段は女神フレイヤの醜聞を暴き、矛先が彼女の兄フレイにも及ばんとしたときである。
この美男美女兄妹の父であるニヨルドが口を開く。「こんな奴にとりあうな」と。
そこで、間髪入れずロキが返したのが34節、ニヨルド神人質時代の苦話暴露だ。

「便器野郎がずいぶんな口を叩くじゃねーか。てめぇが人質として東の神々ンところに送られて来た時、その口は、ヒュミルの娘たちのトイレ代わりに使われただろうが」

なんと! 
…かくのごときなのである。

思えばゲルマンの神話創部たちの心底には汚涜症サディズムの傾向が色濃くあったのではないか?
美しいもの・権威あるものを創っては穢す、ぶち壊す。
総括的量的な極がラグナロクならば、局所的質的な極がこの「ロキの口論」34節、人間便器ならぬ『神便器』の創造だ。
巨人ヒュミルその人ではなく、娘たちになっているところが様々な意味で興味深く、故に本サイトの論題たりうるのであるが…

ここは結論を述べるにとどめ、詳説はしかるべき後日に譲り別題とあわせ論じたい。


posted by homer_2006 | サディズムに花束を!
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