羅貫中ワールドの登場人物たち − 中国四大奇書に見るアブノーマルな世界

d1b60ad8.gifあの三国志と水滸伝は同じ作者の手によるものだった!
意外なことだ。少なくても論者はそう感じる。
正確に言えば、作者とされる羅貫中は巷間の伝承を物語に集大成したにとどまるのであるが。
これもまた伝承…
だからこそ、例え物語・創作であっても描かれている世界には史実的な裏付けがあり、歴史として論じても危うからずなのではなかろうか?

特に論者の興味が向くのは水滸伝のほうだ。
全編に描かれるアジア型カニバリズム… 劉備の稿で触れたとおりである。
好例が、母夜叉・孫二娘だ。茶屋のおかみである彼女は旅人たちに次々痺れ薬を盛っては殺害し、人肉饅頭に料理して売り物にする。
肝要なのは、こうした人物が『好漢』の一人に数えられていることだ。
水滸伝の舞台が北宋時代末期であることを考えれば尚のこと奇書である。

さてこの稿の論題として、更に女性サディズムの近例として論じやすいものをあげよう。
主人公である宋江は、この場面でも山賊に捕らえられ肝吸にされそうになる。
幸い首領・燕順は捕虜が宋江と知るや、非礼を詫び縛めを解くのであるが。
と、ここに別の人物が捕虜となって現れる。本稿主役である女性だ。
宋江はこの女性も助けてくれないかと頼む。

「宋江殿、この女は青州清風寨の正知寨・劉高の妻。良民をいじめ賄賂をむさぼりとるとんでもない女ですぜ」

と渋る一同を何とか説き伏せる宋江。
それが後日の災いになるとも知らずに…
彼女は寨に戻ると、「知事夫人の威厳で山賊どもを震え上がらせ(堂々戻って)きた」などと作り話を押し通し、あまつさえ偶々市中で見かけた宋江を山賊の首魁であると讒訴しこれを虜にするのである。

ものの本によっては、彼女自らが逆さづりの宋江に竹鞭をふるい拷問する場面が描かれる。
いや、これは拷問ではなかろう。純然たる打擲だ。
絶対に吐くわけがない、このことを誰よりもよく知っている夫人その人が打ち据えているのであるから。
夜叉となる快感に酔いしれる、と言えば文学的且つ的確な表現となろう。

どうやら中国宋代におけるサディスティンは悪女だったようである。
それにしても大陸の悪女はスケールが大きい。


posted by homer_2006 | サディズムに花束を!
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