アデーレ・シュトラウス − ワルツ王の"妻たち"に見る亭主操縦術

0939c18f.jpgワルツ王・ヨハン.シュトラウスUは、その生涯に3度の結婚をしたのであるが、最後の妻が表記の女性である。
いやいや、彼女自身は本ブログの話題になりそうな人物ではない。
悪女・悪妻というなら、夫を老いぼれよばわりして逐電した2番目の妻・アンジェリカあたりなのであるが。
実際ワルツ王は、アデーレ・ドイチェとの再婚により、幸せな晩年を送れたと伝えられる。

にも拘らず、何でアデーレを?
名前に聞き覚えがある方もあろう。そう、喜歌劇『こうもり』だ。
シュトラウス創作中の女性たちに被せるために、アデーレである必要があったのである。

喜歌劇『こうもり』のアデーレは妻ではなく、主人公家の小間使いになるのだが、それはそれで論の手順。
夜会で主人公アイゼンシュタインと顔をあわせ、その旨指摘された折の彼女は、持ち前の芝居っけで切り替えし逆に主人を嘲るのだ。
そんな甲斐あってが、シュトラウスの死後に創られたバレェのこうもりでは、アデーレは主人公ヨハンの妻であるベラに昇格する。

子供の世話に明け暮れ、疲れ気味の主婦ベラ。なのに夫のヨハンは毎夜のように、こうもりの翼を付けて夜遊びに出かけている。
そこでベラは友人のアドバイスを得て謎の美女に変身。夫が酒やダンスを楽しんでいるカフィへ向かう。
そして、変身したベラはカフェで、夫を含むカフェの男たち皆を誘惑する。変身前は長いドレスで隠している脚を惜しげなく披露し、つま先で「おいで、おいで」と。
女性の足に執着する男性心理を計算尽くした誘惑法、再三論じているとおりだ。

変身ということで、喜歌劇の方に話を戻す必要があろう。
前述の夜会にはアイゼンシュタインの妻・ロザリンデも仮面を付けて参加する。
自分の妻とも気づかず、熱心に口説く主人公… これが古典的なお笑いを誘うのであるが。

ここで、以前論じたアニマ論だ。
アニマ、男性の心に住まう『永遠の女性像』であった。唯一の女性像を求め続け、世の男性は多くの現実女性を求める。
女性の場合はこの正反対だ。即ち、永遠の男性像・アニムスは(一人の女性の心中に)複数存在する、だから一人の(現実)男性に回帰する結果となるのだ。
これが性差…
下世話にも、男は女房に似た女と浮気するいうが、シュトラウスの喜歌劇はこれを伝えてくれている。

結論。
男性を支配したいと欲する女性は、ともかく結婚すること。
ワルツ王の"妻たち"から学べる教訓である。



posted by homer_2006 | サディズムに花束を!
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