孫夫人 (中国・三国)  − 三国志主役二人をきりきり舞させた弓腰姫

0510015b.jpg孫尚香というのは演劇上の名前であるようだ。
昔の女性にありがなことで、この女性もまた本名は不明である。
でも彼女に限ってはそれでも十分であろう。何せ孫権の妹であり、劉備の夫人なのであるから。

弓腰姫…
非常に武術に長けた女性であったという記載は、どの記録にも共通だ。
そして気性も激しい、そのせいで当時としてはとうがたった年齢である23歳までは縁がなかった。
縁あって劉備玄徳の後妻に納まる彼女、政略結婚である。
まあ、女傑嫌いの作者・羅貫中により演義では、つまらない人物、下世話な言い方をすれば体育会系バカに描かれる孫夫人であるのだが…
論者が見る限り、そんな人物には読めない。そこで本稿副題があるのだが…
少なくとも、後世日本の類似事例、家康後妻となった太閤秀吉の妹・旭姫とは天地の差がある。
同じ創作でも、より史実に近い形に検証して書かれている陳舜臣・秘本三国志あたりでは、彼女登場の場面は以下の如しだ。

周瑜より政略結婚を献策された孫権は、腹の皮をよじって笑い転げる。
「アレをか? 玄徳もさぞや手を焼くことだろうて」
瑜に窘められた権は妹を訪ね、嫁にいかぬかと持ちかけるのであるが、彼女の反応はこうだ。

「誰? 兄さんの部下なら御免だわ。だって謀反でも起こさない限り、兄さんより偉くなれないんだもん」
「ははは、違うよ。ちょっと年はとってるんだがな」
「どうやら劉備玄徳のようね。面白いじゃない」
「ほう… どうしてだい?」
「兄さんと劉備はいっしょに荊州を攻めたじゃない? 土地は兄さんの方が余分にとったかもしれないけど、人は皆、劉備についていっちゃったじゃないの。どんな男だか興味ある」

…絶対口にしてはいけない言葉だ。勿論後のほう。
兄がそれこそ命がけでしてのけた荊州攻略を全面否定してしまってる。人間の存在価値自体をぶち壊しているとでもいえばよいか?
偶々孫権が大笑いの直後だったからよかったものの、当時かの地の世間相場に照らせばその場で斬り殺されても文句が言えないところだ。
しかも、(政略のための重要駒であるから)絶対に斬り殺されるないと計算しての発言であることが小面憎い。
兄妹だから許される『兄いじめ』といったところであろう。

繰り返すが、論者もまた兄二人を持つ末妹…
posted by homer_2006 | サディズムに花束を!