ギリシア神話の創造者たち A − 女狩人アタランテに見る強女像

9972aea0.jpg世界神話最大手から2回目の記事である。

名高きアマゾネス。
その代表格といえるのが、副題のアタランテだろう。
アルカディア王の娘。父王は息子を欲していたために生れ落ちてすぐ山に捨てられ、雌熊によって育てられる。
この熊は1回目で俎上にあげた女神アルテミスの化身だったとも言われ、事実アタランテはアルテミスの養い子にふさわしい弓の腕と誰にも劣らぬ俊足を備えて美しく成長する。
強女としての逸話とすれば、『カリュドンの怪物猪』退治への参加や、アキレウスの父親ペーレウスに相撲勝負で勝つなどがあげられる。

さて、そんなアタランテであるから求婚者は後を絶たず。彼女は求婚の条件として彼女自身との徒競走を条件付けた。
アタランテが負ければ結婚するが,求婚者が負ければ死ななければならないという過酷なものである。
あるサイトに、ちょうどお誂え向きの記述があったのでお借りしよう。

メラニオンの公正な審判のもと、血の試合が始まった。

 一人目の男が位置につく。隣には、いつでも敗者を射殺せるよう弓を携えたアタランテがいる。

「それでは…用意、スタート!」

 メラニオンの合図と共に、両者が一斉に駆け出す。ゴール地点はスタート地点から遠く離れた山の中腹に設けられていた。

 しばらくすると、アタランテが男をぐんと引き離す。男のほうは既に息が荒くなっていたが、アタランテは汗一つかいていない。熊に育てられ獅子と共に森を駆けたアタランテにとっては、散歩以上の競争にもならない。見る見るうちに引き離され、ついに男はアタランテを見失うほど距離を離されてしまった。
 男がようやくゴール地点が見える場所に着くと、そこにはアタランテがこちらを見て待ち構えていた。手には強弓をもち、狙いをピタリと定めている。男が叫び声をあげ、引き返そうと後ろを向くと同時に、ひょうとアタランテの一矢が放たれる。後ろから眉間を射抜かれた男は、そのまま地面に崩れ落ちた。

 男たちの中に驚きと恐怖のどよめきが起きる。男の遺骸を踏みつけ、アタランテは大声で叫んだ。

「こんな男では話にならない! もっと強いという自信があるものがいるのならかかって来い!」

どうであろう?
もし、貴方がMF (ミックスファイト=男女勝負) マニアたるマゾヒストを自認する男性であるのなら、泣きの涙で感動されているのでは?
確かに残酷な逸話だ。

だが、またしても「だが」なのだ。
これは、世界各地に例をみる『難題婿』の一形態にすぎない。
同種の国産品として、アイヌの姫君との相撲勝負の伝話を別サイトで紹介したことがある。(少々曰くつきなのだが)

この難題婿を女性の側から見るのであれば、懸賞の景品となるようであまり愉快な話ではない。屈辱感すら感じる。
ここで同意を求める。そうであろう? と。
伴侶ぐらいは自分の意思で選びたいものだ。
強いて特筆するなら本稿の説話においては、自らが難題となることで多少なりとも自助努力できるので、幾分マシといえることか。
それでも意図に沿わぬ伴侶選びをせねばならぬことには変わりはない。
武術大会の優勝者には姫をとらせる、という定番とどれだけの差があるというのか?

MFマニア男性諸氏のことを『思い込みマゾ』と評して久しい本ブログ。
これはことによれば、ギリシア神話の創造者たちの中に、彼らのご先祖様がいたのやもしれない。



posted by homer_2006 | サディズムに花束を!
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