奇譚クラブ

「奇譚クラブ」とその周辺

河出書房新社

このアイテムの詳細を見る



 前著 「奇譚クラブの絵師たち」でも当時の裏話を生き生きと綴っていた濡木痴夢男の新刊。この人は「奇譚クラブ」の熱心な投稿作家であったが、「奇ク」の編集者で絵師でもある須磨利之(喜多玲子)に誘われ、「裏窓」の編集者となった人。その後、緊縛写真の縄師としても活躍し、戦後のSM文化を裏から表から産み育てた。他にも河出文庫から何冊か出ていますが、今回の新作は「奇ク」を狂言まわしとした戦後SMのガイドブックとしても読める、とても興味深い内容になっています。

 「奇譚クラブ」は今でも古本屋などで入手可能で、ヤフオクでもわりといい値段で取り引きされております。僕はたまたま小学生の時に道ばたに束になって捨てられていた数冊を拾ったのが運命的な出会いとなりました。ここで初めて春川ナミオなどのイラストに衝撃を受け、この雑誌をきっかけとして、当時自分の中に芽生えつつあったマゾヒズムを明確に意識することになりました。世の中にこういう世界があることを知り、なかば安心した思いが忘れられません。中学生の頃には今でいうアニメおたくのように、SM雑誌の収集に情熱をそそいだものです。子供だから街の本屋では買えないし、もちろんお金もありませんから、郊外の住宅地を歩き回り、ゴミ捨て場に古雑誌が捨てられているのを見つけては、まるで ホームレスのおじさん のように物色し、SM関係の雑誌をかき集めて家に持ち帰ったものです。当時は「SMキング」「SMコレクター」「SMフロンティア」「SMマガジン」「SMセレクト」といった、誌名に「SM」を付けた雑誌の発刊ラッシュのような時期で、買ったはいいけど家の中での処分に困った人たちが、けっこう投げやりに捨てていたのでしょうか。郊外のゴミ置き場にはたいていエロ系週刊誌の陰に隠れたかたちで、こういったSM雑誌もよく捨てられていましたね。

 「奇譚クラブ」には時期にもよりますが、総じてグラビア写真が少なく、読みもの中心でした。しかしイラストにFemDom系のものが多く、特に春川ナミオ以外にも男性マゾヒズム願望を満たすような作品が掲載されていたのが印象に残っています。他のSM雑誌が女性緊縛写真やS男性向けの構成がメインだったことを思うと、「奇譚クラブ」はバランスがとれていたように思う。そのページに掲載されている小説や記事とは関係なしに時々登場する「イメージギャラリー」という読者投稿のコーナーがあり、そこには「犬女」などで知られる室井亜砂路の作品も見られました。岡たかしや飯田ひろくにとかがM男ものをよく描いてました。四馬孝や杉原虹児といった大御所もこの頃から登場しています。

 戦後のSMを語る上で欠かすことの出来ない貴重な資料としての「奇譚クラブ」ですが、僕にとってもエム心の故郷のようなものなのです。


【アフィリエイト文責】

homer_2006@goo.jp
僕の実名住所等はメールにて確認ください



posted by homer_2006 | Comment(0) | マゾヒズムに花束を!
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。