山越えのカブ

カブ9月も大分投稿が進みました。
実際これを書いているのは、同じ9月でももう少し早い日付なんですけどね。
今日は、おいちょかぶから9月の話をしましょう。
そうそうこのカブ競技については日付を前後して何回か話してますから、探してみてください。

ということで、カブでは9が最高のスコアでしたね。
9自体をカブと呼ぶくらいですから。
最初に配られた札が、9月だったらもうこれ以上スコアが伸びることはない、だから札は引きたくないところですよねえ。
でも、そうはいかない。必ず2枚は受け取らなければならないのです。

そして、その2枚目が1月だったら、もう最悪ですよねえ。
ブタ、0点になってしまいますもの。天国から地獄です。
ただし、ただし、これ以上スコアが悪くなることもまたありませんわ。
気を取り直してね任意である3枚目を引いたところ、また9月!

この「!」のことを、『山越えのカブ』と呼びます。
人生は勝負だせ、山あり谷あり、万事が塞翁が馬。
まあ、そうそういきがるのも野暮ですから、ここは視点を変えて。
この『山越えのカブ』の哲学、なにがしか恋愛にも通じるところがありますぞ。
そういえば大昔は通い婚、男は毎晩、野を越え山を越えて妻の元に通ったんでしたねえ。
万葉集から名高い、柿本朝臣人麻呂、石見の国より妻に別れて上り来る時の歌二首 并せて短歌、を引きましょう。

 石見(いはみ)の海(うみ) 角(つの)の浦廻(うらみ)を 浦なしと 人こそ見らめ 潟(かた)なしと 人こそ見らめ よしゑやし 浦はなくとも よしゑやし 潟はなくとも 鯨魚(いさな)取り 海辺を指して 和田津(にきたづ)の 荒礒(ありそ)の上に か青く生(お)ふる 玉藻沖つ藻 朝羽(あさは)振る 風こそ寄らめ 夕羽振る 波こそ来寄れ 波の共(むた) か寄りかく寄る 玉藻なす 寄り寝し妹(いも)を 露霜の 置きてし来れば この道の 八十隈(やそくま)ごとに よろづたび かへり見すれど いや遠(とほ)に 里は離(さか)りぬ いや高に 山も越え来ぬ 夏草の 思ひ萎(しな)えて 偲(しの)ふらむ 妹が門(かど)見む 靡けこの山(2-131)

       反歌二首

 石見のや 高角山(たかつのやま)の 木の間より 我が振る袖を 妹見つらむか(2-132)

 小竹(ささ)の葉は み山もさやに さやげども 我は妹思ふ 別れ来ぬれば(2-133)

宮廷歌人として数々の歌を詠んだ柿本人麻呂は、晩年石見の国の国主を務めました。
当時の地理的分類によれば、山陰は因幡まで。都まで25日かかる石見は員数外だったというわけです。
この歌は、都に戻る折に現地妻との別れを惜しんだ人麻呂の、珍しく私的な歌です。
この地方というのは、冬場は曇りがちな日が多いのですか?
僕も、冬場に生まれた赤ん坊はわずかな晴れ間の日に裸で日光浴させる、と聞いたことがあります。
まさにそんな冬の日の荒涼たる光景を、「石見の海 角の浦廻を〜」と詠み始めます。

地理的にも海岸際は切り立ったがけの多いこの地方です。
遠景から詠み始める、人麻呂おとくいの手法、いくつかの対句を使いながら、眼下の情景を詠み進めます。
そして、ふと海岸に打ち寄せられた玉藻にフォーカスを絞ったところで転調です。

ほら、映画でもよくあるでしょう?
遠景から近景へとフォーカスを絞り、ひとつのオブシェを捉え、そしてそれが恋人に姿に変形する、ってのが。
まさにそれですよ。
玉藻が、別れて来た妻の姿になって、そこから「寄り寝し妹」への思いが情熱的に歌われていくわけです。

「靡けこの山」、愛しい妻のあの家がみたい、みたい、みたーい! (そのためには)なくなっちまえ、こんな山なんか!
とんでもない誇大表現が、誇大表現にならないのは、前半部で石見路の荒涼たる光景を歌いあげていたその成果でしょう。
そして、反歌。

最初のほうに、初めて妻の具象が出てきますが、「見つらむか」あくまでも人麻呂の心中のこと、ネット馬鹿のいうとこの「脳内妄想」です。
そして、「我は妹思ふ 別れ来ぬれば」とまた元のひとりぼっちの道中風景でエンドになります。
長歌において、荒涼たる光景から因を発した内情を情熱的に歌い、反歌において情熱的な内情が再び眼前の荒涼たる光景に帰す…
長歌反歌一体となり、一大恋情交響楽を構成していることがお分かりいただけたでしょうか?

ところで、このときの人麻呂はもう晩年。
なのにかくも情熱的に妻を愛することが出来たとは!
毎晩毎晩、片道13キロの道を通ってたんですよ。

男性受けだとか、甚だしくはM男だなどと大でたらめを称し、寝そべって♀から愛撫されないと絶頂を迎えることもできないダメ♂の皆さん。
一人の異性を愛するというのは、これだけの根気と情熱のいる大事業なんですからね。
 
と、この言い回し、



犬養博士の講義を聞き返しましたゾ

を丸写ししました。
まあまあ、僕のようなマゾ騙り軟弱スケベ男が叱られていることですし、ここは穏便に、穏便…に…

………
………

わああぁぁぁぁ!!! ミユ様! ごめんなさい! ごめんなさい!!
また、パクってしまいましたぁ!

いけない僕をイヂメて、イヂメて!
もっと、イヂメて〜!!

    (;`Д´)/ヽアー/ヽアー!!



posted by homer_2006 | マゾヒズムに花札を!
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