Helmut Newton



 パリのホテルで、全裸の女性が靴だけ履いて、首輪に繋がれている。いったいどのような物語がこの部屋で展開されるというのだろうか?

  ヘルムート・ニュートン は「ヴォーグ」に代表されるようなわりと上品なメディアに、鞭やハイヒールといったSMを連想させるシンボルを意図的に構成してみせた初めての写真家である。フェティッシュな形式美による場面構成には、そのものズバリの描写はないものの、見る人が見れば、どうしてもこれはエロティックな想像力を働かせざるを得ないような独特のスタイルで見る者を魅了する。

 やはりホテルの一室で、乗馬用の鞍を背中につけた女性がベッドの上で四つん這いになっている。これは誰がどうみてもかなりマニアックな「お馬さんごっこ」の世界に決まっている。しかし、不思議といやらしさは感じられず、かといってまったくエッチでもないかというと、そうでもなかったりして。ビミョー。

 そこはかとなく見る人の感性でどのようにでもエロティックに、あるいは上品にもなってくれる柔軟でスタイリッシュな作品性がこの人のウリだと思う。

 あるいは、ゴージャスでグラマーな女性が首輪をつけた犬を、そのリードを引っ張って見下ろしている作品。これなどは、僕は自分がその黒い犬になったつもりで見てしまい、どうしてもそっち方向の想像をしたくてたまらなくなる。(いったいどっちの方向なんだか ^^)

 デビッド・ボウイやアンディ・ウオホールのポートレート写真など、マトモな作品も有名だけど、そのマトモと思われている被写体の多くは、実は世界的な変態だったりもする。
 なんといっても映画「愛の嵐」でナチスの軍帽をかぶったユダヤ人女性を演じた 女優シャーロット・ランプリングのヌード写真が僕には忘れられない。

 ベルリンで1920年に生まれたニュートンの国籍はオーストリア。1950年代からパリで活動し国際的なカメラマンとしての経歴をスタートさせる。既存のモードを打破しようとする過激さの中に、どこか退廃的なエロスを感じさせる作品を発表して当初は物議をかもしたらしいが、70年代以降、マリークレール、エル、プレイボーイ誌などでも活躍し、この世界の押しも押されぬカリスマ的アーティストとして君臨した。


 日本ではヘアヌードが解禁になった90年代に石田えりの写真集を撮り下ろして話題にもなった。

 2004年に交通事故で亡くなった。



posted by homer_2006 | Comment(0) | マゾヒズムに花束を!
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